【コラム】初心に還る
遠い記憶。学校の家庭科の授業で、創作料理を考えるという回あって、うちの班は「ツナ豆腐」というのを作りました。
私はツナ缶を使った料理を食べることが当時なくて、創作料理も、私が考えた献立ではありませんでした。当時、あまり調理が好きだという想いも無かったし、学生時代、包丁扱いはすこぶる危なっかしかった気がします。
大学に入って、実家を出てからも、美味しいものを食べたいという気持ちとは裏腹、どうしたらそれができるのかを学ぶ気はそこまで強くなくて、やたらおしゃれな、写真の美しい料理本を買ってきては、いちから材料を揃え、でも段取りのイメージがないので、うまくいかず。出来に満足できず、癇癪を起こしたこともありました。だから、20代の私は、決して、料理が得意な人ではなかったと思います。
当時の私は、料理という営みの真の目的を、見失っていたのかもしれません。
ひさびさに、チーズ豆腐を作りました。
疲れているときはこのくらいがちょうどよくて。豆腐にチーズをかけて電子レンジでチンして、オリーブオイルと塩胡椒、あとはイタリアンパセリをかけたものです。