はりねずみの調理室

「創ることで学ぶ」研究者の、日々の調理blogです。

【外ごはん】鰻のせいろ蒸し

おそらく10数年ぶりでしょうか。福岡県の柳川で鰻を食べました。

仕事で大牟田に行ったので、様々な親族を想い起こすことになりました。そして簡易的な墓参りをし、まだ時間があるので、柳川で降りることにしました。

柳川も祖父母や叔父や母と行った記憶があります。しかし、祖父は他界し祖母は認知症、叔父とは絶縁し母とも疎遠です。みな遠くなった私に残されているのは、想い出の時と風景、その記憶だけということになります。

 

久方ぶりに立ち寄った元祖本吉屋本店は、全く風貌変わらずそこにあり、世辞にも愛想が良いとはいえない接客も健在でした。

元祖本吉屋

住所:福岡県柳川市旭町69
電話番号:0944-72-6155
営業時間:10:30~21:00(LO 20:30) ※土曜日・日曜日は予約不可。受付順
休日:第2・第4月曜日
ウェブサイト: http://www.motoyoshiya.jp/

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愛想の良い対抗の若松屋は冷凍で発送もするとのことですが、元祖本吉屋は土日は予約さえ受け付けてくれません。勿論クレジットカードも使えません。その代わり、美しい日本庭園が出迎えてくれます。

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注文されてから蒸されます。だから、30分〜40分は待たねばならなりません。子供の頃、この時間がどれだけ苦痛だったことでしょう。しかし、大人になった今は、逆算して、酒を飲みながら仕事をして待つことができます。ここには、鰻まきも、うざくもなく、特別なおつまみがあります。唐揚げ(鰻の骨をあげたもの)は、18時半で既に売り切れでしたが。

 

■白焼おろし

白焼にあたたかいお出汁と大根おろし

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■酢物

冷たい鰻の白焼に酢、大根千切り、錦糸卵。

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■鰻のせいろ蒸し

タレのかかったご飯と鰻がせいろで蒸されています。私は鰻をこの調理法で食べ習ったので、幼少期には東京の鰻屋で食べる鰻を硬く感じていました。今は東京の鰻も名古屋のひつまぶしもそれぞれ美味しいと思えますが、それでも、柳川のせいろ蒸しは別格に思えます。脂が蒸すことで落ちており、香りは豊かに、驚くほどあっさり食べられます。

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せいろの隙間に入る米粒にイライラした子供時代を、久方ぶりに思い出しました。一粒残さず食べたいのに。そう思わせる味だということです。

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天神から1時間。店に入って40分。

それでも、元祖本吉屋本店の味は、わざわざ行っても価値のある店だと思います。

www.hotpepper.jp